−本店−

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−東京ショールーム−

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2019年5月31日店主より

介助用のテルチェアを納品しました。(愛知県常滑市)

当初テルチェアを注文したいとご連絡を頂きました。
お話をお伺いすると、脳出血で右方麻痺になられたご主人が、玄関で靴の脱ぎ履きをするのに使う椅子として
使いたいとのことで、椅子に座って靴を脱がれた後に、奥様が力一杯椅子を引きずって向きを変え、
中に入られるということでした。
このような使い方をされるとなると、既存のテルチェアでは構造的に不安です。
当店の家具は全体的にラインが細く、見るからに頑丈ですというデザインではありません。
今回、テルチェアのデザインを気に入ってご連絡頂いているので、ベースのデザインは変えずに、
お客様がより使いやすいようにご提案させて頂くことにしました。

テルチェアのイメージを決定づける笠木の部分はそのままに、脚と貫、座板を変更しました。
まず座板は大柄なご主人に合わせて、通常よりもひと回り大きくしました。
両サイドの貫は座る時の衝撃に耐えられるように太くしています。脚は少し太くし、傾斜をつけずに
笠木からまっすぐ床に下ろすことで、衝撃への対処とともに、外側に体重がかかった際に、
バランスを崩しにくくしています。

またお話しを聞いていて、ご主人のご不便は元より、ご主人が座っておられる状態で、
奥様が椅子を引くという事がとても大変そうで、なんとかそれを楽にできればと
キャスターをつけようと思いました。ただ、通常の車輪だけがロックされるキャスターだと、
ご主人が高所からドーンと座られた時に、軸が回転し危険です。
そこで今回採用したのは、車輪と軸が同時にロックされるダブルロックキャスターです。
介助用の椅子やベッド等によく使われるキャスターなのですが、車輪径が大きく、
メッキの金物のものがほとんどです。時間をかけて、ようやく脚に合うサイズで、床を傷付けにくそうな、
違和感の少ないものが見つかりました。正直なところ、デザイン的にはベストではないのですが、
今回は機能を優先しました。メーカーの方、コンパクトでかっこいいダブルロックキャスターの開発を
お願いします。
試作を作り、二人でドーンと座ったり引いてみたり、色々試してみた結果、問題ないだろうと判断し、
本製作となりました。

お話をお聞きして、イメージできる範囲では形にしたつもりですが、実際には私たちは健常者であり、
身近に障害を持った方がいるわけでもありません。実際ご不便を解消できるのかと、いつもの納品とは
違った心配がありましたが、

「障害者の家族になり初めて日常の不便さに気づき
その中でも自分らしさを‥なるべく病気になる前の生活やこだわりを忘れないようにしてもらいたい、
大病はしたけれども今は病人じゃないんだと家人に理解してもらいたい。
今回は平山さんのお力をお借りして、生活に欠かせない体の一部のような物がまた1つ増えました。」

と、大変喜んで頂けて本当に安心しました。
また、私たちと同じような悩みをお持ちの方がたくさんいらっしゃると思うので、
日誌でも細かく詳細を明かし、オーダーでこのようなものが作れるということを
是非発信してくださいとおっしゃってくださいました。

当店では通常でも、オーダーを受けてから製作をしているので、その方のための家具という想いで
家具を作ってはいますが、今回いつも以上にその方だけの家具を作る機会を頂き、
私たちのような小さな工房ならではの仕事だなと改めて感じる機会となりました。

K様、この度は誠にありがとうございました。
私たちもとても勉強になりました。